戦う会社の経営学 > 人と組織 > 労働法の基礎知識〜人事・労務の法律入門
労働法の基礎知識

第6回 休職、退職、解雇のイロハ『お前は首だ!!』は通用しない??

(森 義隆=社会保険労務士・FP・キャリアコンサルタント)
更新日: 2007-05-26 

 官公庁等の労働相談を行なっていると、休職の取扱(私傷病による―特に心因性)、退職(会社都合か自己都合か)、解雇(不当解雇)に関する労働者からの相談が非常に増えています。経営者の都合(感情)で労働者の扱いを決めてしまっては、後々面倒なことになります。経営者が最低抑えておきたい知識を勉強しておきましょう。


休職のポイント

 休職とは、会社に在籍し労働の義務を免除されながら、雇用契約が継続することを言います。労働基準法では「休職制度があるときは就業規則に明記すること」と表現するにとどまっています。したがって内容は企業ごとに自由に定めることができます。賃金は、労働者の事情による場合、通常無給とされます。会社都合による場合は、労働基準法の定めにより平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければなりません。休職期間は勤続年数により差を設けるのが一般的です。私傷病の場合数ヶ月から数年の範囲とすることが多いようです。


退職のポイント

 解雇とともにトラブルの原因となりがちです。退職は、労働者の都合による自己都合と会社都合(合意解約)の2種類に分けることができます。会社都合による場合、労働者の了解を得なければなりません。つまり、会社が一方的に退職を迫ることはできません。また、自己都合か会社都合かで、失業給付(雇用保険―失業保険)を受ける際、差が発生します。また社会保険(健康保険、厚生年金)に関する事務手続きも速やかに行わないと、トラブルの原因となります。


解雇のポイント

 解雇には、普通解雇(労働者に仕事を進める上で能力上の問題がある)、整理解雇(企業経営の悪化による人員整理)、懲戒解雇(刑法上の犯罪を犯した)の3種類があります。解雇は「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当」と認められなければ無効となり解雇権の濫用とみなされます。いわゆる不当解雇の問題が発生します。標題の『お前は首だ!』式の経営者の一方的な意思表示は、法律が厳しく目を光らせています。具体的には、不当解雇ということで労働者から監督署等へ申告があった場合、経営者側はきわめて不利な立場にさらされます。


これからの経営者が注意すべき点

労働契約や就業規則の見直し

 退職に関する事項をあらかじめ明確にしておくことが第一です。「文書化すること」はトラブルを防ぐ第一歩です。

警告書・始末書もきちんと取る

 就労意欲に乏しい(遅刻、欠勤)、何度注意しても同じミスを繰り返すなど、労働者に明らかに原因がある場合には警告書や始末書をきちんととることも企業防衛の観点から大切です。

退職・解雇に関する手続を適正に

 労働者から求められた場合、速やかに退職証明を出すことはもちろん、雇用保険や社会保険に関する手続きを速やかに行うことは当然です。加えて、退職・解雇について事前に労働者に十分な説明や話し合いを実施すること。怠ると忘れたころにトラブルが降りかかります。手間を惜しまずに!


[前頁]  [目次]  [次頁]

 

森 義隆[もり・よしたか]
森労務管理事務所・社会保険労務士・FP。昭和34年生まれ。同志社大学法学部法律学科卒業後、朝日生命保険相互会社入社。富士火災海上保険株式会社を経て、平成15年森労務管理事務所開設。病院、歯科医院を中心とした保健衛生業、芸能人事務所、製造メーカー、レストランなど多くの企業の顧問として活躍。また労働問題、社会保険、年金研修の講師としても全国で活躍中。

森労務管理事務所
http://www.sr-mori.jp

 

第1回 労働基準法と周辺の法律(労災、安全衛生法など)
第2回 賃金、賞与、退職金の基礎知識
第3回 注意!労働者を雇用するときのツボ
第4回 これだけは抑えておきたい労働時間のツボ〜労働時間と精神疾患
第5回 これだけは抑えておきたい労働時間のツボ〜休日、休憩、有給休暇
第6回 休職、退職、解雇のイロハ『お前は首だ!!』は通用しない??
第7回 就業規則は誰の味方?
第8回 おろそかにできない安全衛生面〜一度おきるとこんなに怖い労災事故
第9回 知っておかないと損をする、これからの労働法